今宮神社(玉の輿神社)の門前名物あぶり餅を創業千年以上の歴史がある一和(一文字屋和助)で堪能
スポンサーリンク
京都市北区紫野にある今宮神社(玉の輿神社)の門前名物といえばあぶり餅です。門前には2軒のあぶり餅のお店が向かい合って営業していますが、今回は創業長保2年(1000年)、千年以上の歴史を持つあぶり餅のお店『一和』(一文字屋和助)を訪ねることにしました。その前にまずは今宮神社を参拝することに。境内南側にある楼門は大正時代に建てられたもので、鮮やかな朱色が目を引きます。
境内は広く、緑が多くて静かで落ち着く雰囲気です。正暦5年(994年)、京都で疫病がはやった時に、悪疫退散を願い御輿を造営し、紫野御霊会を営んだのが今宮神社の起源といわれています。毎年4月の第二日曜日には『やすらい祭』という疫病を鎮め健康を願うお祭りが開催されます。
今宮神社は健康長寿のご利益の他、玉の輿祈願にもご利益があるとして近年若い女性を中心に人気を集めています。その理由は京都の西陣の八百屋の娘であったお玉さん(桂昌院)という女性がのちに将軍徳川家光の側室、徳川綱吉の生母となり、大奥で権力を持って女性として最高位に就いたというシンデレラストーリーにあります。桂昌院は今宮神社が荒廃していた時に再興に尽力したのだそうです。このように桂昌院とゆかりのある今宮神社は玉の輿にご利益があるとされ、信仰されるようになっていったようです。
本殿横にある社務所には様々なお守りが用意されていましたが、何といっても人気があるのは玉の輿祈願のお守りのようです。玉の輿はいつの時代も女性にとって憧れなのでしょう。お守りは八百屋の娘だったお玉さん(桂昌院)にちなみ、可愛らしい野菜の絵柄になっています。
境内には西陣織の祖神、織姫社や交通安全の神様、宗像社など様々な社があります。また、『阿呆賢さん』(あほかしさん)という願掛け石があり、一回目は手のひらで三回石を軽くたたいて持ち上げ、二回目は願い事を込めながら石を軽く手のひらで撫でてから持ち上げて、一回目よりも軽くなっていれば願いが叶うとされています。
参拝を終え、今宮神社の東門から参道の方へ出ると、門前名物あぶり餅の一和があります。今宮神社にお参りに来た人のほとんどがあぶり餅を食べて帰るのではないかと思うほど、神社を出た人は吸い込まれるようにあぶり餅のお店に入っていきます。冬の澄んだ空気だったためか、遠くに比叡山がくっきりと見えていました。
一和の建物は古く趣があり、景観重要指定物です。創業から千年を超えるお店は日本には7社あり、そのうちのひとつです。日本最古の和菓子屋といわれています。お店の雰囲気からも、その歴史の古さが伝わってくるようでした。
お餅は店頭の火鉢で焼かれています。雪が降る日も雨の日もこの店頭で焼いているのだそうです。竹串に刺さったお餅は備長炭の上で焦げ目ができるまで焼くので辺りには香ばしい香りが漂い、食欲をそそります。
店内で竹串にお餅を刺しているところを見せていただきました。ゴザの上でお餅にきな粉をまぶし、竹串に刺していく作業は平安時代から変わらない手法。こだわりの素材で添加物も加えず作られるあぶり餅は素材の味そのものです。
持ち帰りもできますが、せっかくなので店内であぶり餅を頂くことに。一階の窓際の席へと案内していただきました。席からは小さいながらも綺麗に手入れされた庭が見えました。
客席は畳の和室でテーブルがいくつも置かれています。店内はほぼ満席状態でした。床の間にはお正月らしい七福神の掛け軸もありました。待っている間に出していただいたお茶を飲みながら楽しみに待つことに。
あぶり餅が運ばれてきました。こんがりと焼けたお餅に甘い白味噌のタレがたっぷりとかかっています。お餅は餅米100パーセントで添加物も加えていないため3時間もしたら硬くなるそうです。また、白味噌のタレは天候や暑さを考慮し季節ごとに味を変えているそうです。
こんがりと焼けたお餅の香りは香ばしく、程よい甘さの白味噌タレはトロっとしていてお餅によく絡みます。一本また一本と次々に食べたくなる素朴なおいしさで、13本あっという間に完食です!このあぶり餅には厄除けのご利益があるともいわれています。
あぶり餅を頂いた後、一和の地下にある井戸も見せていただきました。店員さんに声を掛ければ快く見せてくださいます。らせん状の階段を降りていくと透明な水が溜まっていて、どこか神秘的な雰囲気・・・。井戸には鏡餅が置かれていて、お店がこの井戸を大切にしているのが伝わってきました。
あぶり餅のように、お参りの後に頂く門前菓子は格別のように思います。昔の人々も食べていた味を現代でも味わえるのはずっと伝統を守り続けてきたお店があってこそ。お参りの際には歴史ある門前名物をぜひ味わってみてください。
【一和(一文字屋和助)】
住所:京都市北区紫野今宮町69
電話:075-492-6852
時間:10:00~17:00
休み:水曜日(1日、15日、祝日が水曜日の場合は営業、翌日休み)
交通:京都市バス今宮神社前バス停徒歩2分
スポンサーリンク
関連記事
-
京阪宇治駅前にある老舗和菓子店駿河屋の名物茶だんごは宇治抹茶を練り込んだ人気抹茶スイーツ
宇治観光の玄関口、京阪宇治駅すぐ近くにある『駿河屋』(するがや)は昭和初期創業の …
-
宇治茶の主産地として知られる和束町の和束茶カフェで高級茶葉を使用した茶だんごに舌鼓
宇治茶の主産地として有名な和束町(お茶の京都)。今日は茶をはぐくみ暮らす緑豊かな …
-
伏見にある城南宮の門前名物おせきもちは鳥羽街道で長年愛されてきた素朴な味わい
名神高速道路の京都南インターチェンジ(京都市伏見区)のすぐそばに、城南宮の門前名 …
-
下鴨神社近くにある甘味処(和カフェ)加茂みたらし茶屋のみたらし団子は参拝客に人気の門前名物和菓子
京都市左京区にある『加茂みたらし茶屋』は下鴨神社のすぐ西隣にある甘味処(和カフェ …
-
四条堀川にある亀屋良長の銘菓鳥羽玉(うばたま)は京都土産に最適な日持ちがする黒糖味の和菓子
四条通りと堀川通りが交差する四条堀川交差点近くには創業享和3年(1803年)、京 …
-
今宮神社の東門前にあるかざりやはあぶり餅でおなじみの江戸時代初期から続く老舗甘味処
別名、玉の輿神社とも呼ばれる今宮神社(京都市北区紫野)。その今宮神社の門前名物と …
-
下鴨神社境内にあるさるや(宝泉堂)の名物申餅は約140年ぶりに復元された葵祭りゆかりの無病息災を願う門前菓子
下鴨神社境内の中にあるおやすみ処『さるや』で提供されている名物『申餅』(さるもち …
-
宇治の平等院表参道にある能登椽稲房安兼の名物茶団子はお茶の風味豊かなモチモチ食感のまろやかな和菓子
新茶の季節になるとお茶を使ったスイーツを目当てに宇治へと足を運びたくなります。そ …
-
鶴屋吉信本店の茶房で庭を眺めながら銘菓の京観世をいただく贅沢なひととき
西陣(京都市上京区)には京都でも有名な和菓子店『鶴屋吉信』(つるやよしのぶ)の本 …
-
祇園祭り期間限定の人気京都スイーツ!永楽屋室町店の水あずきはひんやりツルンとのど越しの良い飲む水ようかん
京都の夏の風物詩、祇園祭り。今日は京都の中心街にある京佃煮と和菓子のお店『永楽屋 …