下鴨神社境内にあるさるや(宝泉堂)の名物申餅は約140年ぶりに復元された葵祭りゆかりの無病息災を願う門前菓子
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下鴨神社境内の中にあるおやすみ処『さるや』で提供されている名物『申餅』(さるもち)を求めて足を運びました。さるやは緑が生い茂る境内の片隅にひっそりと落ち着いた佇まいを見せています。オープンは2011年と新しいお店ですが、まるでずっと昔からそこにあったかのよう・・・。下鴨神社近くの和菓子店『宝泉堂』が手掛けるお店です。
お店の前には今日のお目当てである申餅がディスプレイされています。今日は『まめ豆茶』という黒豆茶とのセットを注文することにしました。さるやでは申餅の他にもかき氷やおしるこなど、休憩時にぴったりの和スイーツが提供されています。
店内に入ってみました。屋外との間に壁や仕切りが無く、とても開放的です。宝泉堂の商品も販売されています。商品お渡し口で申餅とまめ豆茶のセットを注文し、その場で受け取って、屋外の席で頂くことにしました。
屋外の席は昔の茶屋風で、和スイーツを楽しむのにはぴったりの雰囲気!京都らしさも感じます。梅雨の時期ではありますが、今日は幸いなことに雨は降っていなくてラッキーでした。
豆まめ茶は透明なガラスのポットに入っていて、4、5分待って黒豆の成分を抽出します。どんどんとお茶の色が濃くなり、抽出完了!下鴨神社の美しい緑を眺めながら、いよいよ申餅とまめ豆茶のセットを頂くことに・・・。
葵祭りは下鴨神社の例祭です。申餅は明治時代まで葵祭りの際に神前にお供えされていたものを約140年ぶりに復元したものです。小豆の茹で汁でついたお餅の中にはほんのりと甘い小豆が入っています。このなんとも言えない上品な淡い色は『はねず色』と呼ばれ、明け方の空が一瞬、薄い茜色に染まる時の色を表し、命の生まれる瞬間を象徴しているのだそうです。昔の人々はこの申餅を食べることで身を清め、無病息災を願いました。小豆がやさしく香る素朴な味わいで、大きさはゴルフボールより少し小さい位です。
豆まめ茶に使用されている黒豆は丹波地方のものです。まめ豆茶もまた葵祭りの際に神官が飲んでいたもので、不老長寿の良薬とされてきました。すっきりと飲みやすく、黒豆の甘みも感じるまめ豆茶はどんな和スイーツとでも合いそうで、もちろん申餅との相性は抜群です!下鴨神社の神紋であるふたば葵の模様が描かれた器も素敵です。
申餅を手で半分に割ろうとしたところ、お餅がとても柔らかいのでなかなか割れず、こんな姿に・・・。中にふっくらした小豆があるのがお分かりいただけるでしょうか。およそ140年ぶりに復元された申餅は今後も下鴨神社の門前菓子として親しまれてゆくことでしょう。
豆まめ茶の残った黒豆はスプーンですくってお皿に取り、添えられている塩をつけていただくことができます。皮は程よい柔らかさで、ホクホクとした食感も最高!黒豆のうまみを十分に楽しめます。
申餅と豆まめ茶のセットを楽しんだ後は、下鴨神社の参道に広がる糺の森(だだすのもり)を歩き、糺の森の南にある下鴨神社の摂社、河合神社(かわいじんじゃ)へお参りすることにしました。平日の昼間とあって境内に人は少なかったのですが、下鴨神社は京都で人気の観光スポットです。
糺の森は下鴨神社と共に世界遺産に登録されている広さ約12ヘクタールもの森林です。紀元前3世紀頃の原生林と同じ植生を今に伝え、訪れる人の心に癒しを与えてくれます。糺の森の深い緑に覆われた参道は神聖な空気に包まれ歩いているだけでも心がリフレッシュ・・・。とても静かで、鳥のさえずりが時折聞こえてきます。
河合神社の創建年代は不明ですが、平安時代にはすでに在ったとされています。玉依姫命(たまよりひめのみこと)が祀られ、女性の美の守り神、美人祈願の神様として信仰されてきました。『方丈記』の著者、鴨長明ゆかりの神社としても知られています。
拝殿の脇には『鏡絵馬』という鏡の形をしたたくさんの絵馬が・・・。この鏡絵馬に自分の化粧道具でお化粧を施し、こちらに奉納して美人祈願をします。個性あふれる鏡絵馬を見ていると女性の美に対する願いが伝わってきます。なお、クレヨンなども用意されていますので、化粧道具を持っていなくても大丈夫です。
河合神社の境内にある休憩所では、下鴨神社で獲れたカリンと御神水を使って作られた『美人水』が販売されています。カリンにはビタミンCやポリフェノールなど、美容成分がたっぷり。参拝と合わせて美人効果倍増!一杯飲んでみましたが、すっきりとした甘さで飲みやすく、外は蒸し暑かったためなおさらおいしく感じました。
河合神社を出て再び糺の森を歩き、下鴨神社境内を流れる『奈良の小川』を眺めてから帰ることにしました。小川の水は綺麗で透き通り、見ているだけでも心が洗われていくかのよう・・・。無病息災を願う申餅を食べた後ということもあって、心身共に浄化されたような気分になりました。
京都には伝統ある和スイーツが数多くありますが、さるやの申餅はお祭りの際にお供えされた無病息災を願う縁起の良いものであり、しかも、和菓子店宝泉堂によって約140年ぶりに復元された特別な和菓子です。下鴨神社や河合神社へお参りの際にはぜひこの特別な京都スイーツで無病息災のご利益を得てください。
【さるや】
住所:京都市左京区下鴨泉川町59下鴨神社境内
電話:075-781-0010
時間:10:00~16:30
休み:無休
交通:京阪出町柳駅徒歩15分
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